“夜間の電話が鳴りやまない”現場が変わった。アラート処理を10分の1に削減した自動化の成果~大手SIer保守リーダーの選択~
・業種:大手SIer
・対象システム:大手金融系システム
・役割:保守リーダー
【概要:導入前の課題と導入効果まとめ】
大手SIerが保守を担う金融系システムでは、毎日約1,000件のアラート対応に追われ、夜間・休日を問わず電話連絡が頻発。現場の負担は限界に達していました。
XonOpsの導入により、アラートの自動フィルタリングとナレッジ活用が進み、手作業工数は約80%削減。電話発報の最適化により、精神的負担も大きく軽減されました。
第1章:導入前の課題と影響
■ 課題:アラート対応の限界とコスト構造の問題
新システムへの切り替えに伴い、アラートのフィルタリングがうまく機能せず、毎日約1,000件の既知・未知アラートが発生していました。
これらのアラートはすべて人手で確認・分類する必要があり、キーメッセージの検索や過去事象との照合など、目視中心の非効率な作業が続いていました。
加えて、委託先の運用センターでは、アラート件数に比例して費用が加算される仕組みとなっており、障害が多発すると運用コストが急増するという課題も抱えていました。
■ 影響:人的リソースの圧迫と精神的負担の増加
アラート対応には毎日2名が張り付きで作業にあたる必要があり、他業務へのリソース配分が困難な状況が続いていました。
また、電話連絡の対象となるアラートが多く、夜間・休日を含め頻繁に電話が鳴る状態が続き、現場メンバーの集中力や健康面に悪影響を及ぼしていました。
アラートの棚卸や重要度の選定にも時間を要し、暫定的な発報抑止手段がない中で、現場は“耐えるしかない”という厳しい状況に置かれていました。
優先度の高いアラートを確実に拾う仕組みも不十分で、委託先だけでは対応が困難なアラートが増加。結果として、現場側での補完対応が日常的に求められるようになっていました。
第2章:検討・比較
■ 他ツールとの比較検討
XonOpsの導入にあたっては、他社のアラート管理ツールや、自社による独自構築の可能性も含めて複数の選択肢を検討しました。
既存サービスとの連携構築も視野に入れていましたが、最終的にはNTTデータ社の金融系大規模システムで実績を持つXonOpsを選定しました。
現場の運用実態に即した柔軟な対応力や、既存環境への影響を最小限に抑えられる設計思想が、他製品と比較して優れていると判断しています。
■ 導入の決め手
XonOpsを選定した最大の理由は、アラート管理の自動化によって手作業の削減とコスト削減が直結する提案内容でした。
トライアル期間中に必要な機能が揃っていることを確認できたこと、費用対効果が明確だったことも導入判断を後押ししました。
さらに、将来的な機能追加や拡張性にも期待が持てる点が魅力であり、長期的な運用改善を見据えた選択として、XonOpsの導入を決定しました。

第3章:導入プロセスと初期対応
■ 導入ステップと進め方
本格導入に先立ち、約3か月間の無償トライアルを活用しました。
この期間中は、実際のアラートを試験環境に取り込み、意図した挙動になるかどうかを検証。週1回の定例ミーティングを通じて、XonOpsの担当者とフィルタリングルールの調整を進めました。
ユーザー側だけで進めるのではなく、伴走型の支援体制が整っていたことで、現場の不安を払拭しながらスムーズに検証を進めることができました。
導入準備では、既存運用の引き継ぎ可否や、トライアル中に発生した不測事象の確認を重点的に実施。現場の実態に即した設計を心がけた結果、本番環境への移行は数日で完了しました。
契約手続きはトライアル期間中に導入判断を行い、申込みから約1か月で本番運用を開始。イニシャルコストが不要だった点も、導入を後押しする要因となりました。
■ 初期の課題と対応策
導入初期は、システムの特性上アラートメッセージのバリエーションが非常に多く、既知ルールの整備に時間を要しました。
特にシステム更改と並行して進めていたため、未知のアラートパターンが頻繁に発生し、その都度ナレッジ登録を行う必要がありました。
現在では、約9,100件の既知ルールを登録済みで、対応の自動化が大きく進んでいます。
この過程では、XonOpsのサポートチームと密に連携しながらチューニングを重ね、現場に最適なフィルタリングルールを構築することで、課題を一つひとつ着実に解消していきました。

第4章:導入後の効果
■ 業務負荷の軽減と対応品質の向上
XonOpsの導入により、毎日約1,000件発生していたアラートの切り分け作業は、数十件レベルにまで削減されました。
張り付き対応も不要となり、削減された工数は優先度の高い業務に再配分されています。
ナレッジ登録によって新規事象のパターン化が進み、電話発報やメール通知の抑止が柔軟かつ迅速に行えるようになりました。
対応スピードと正確性が向上し、外部委託先への依頼コストも削減されています。
夜間・休日の電話発報を暫定的に抑止できるようになったことで、現場の精神的負担も大きく軽減されました。
■ 定量的な成果(効果まとめ)
・手作業工数を80%以上削減
従来は月あたり2~3人月かかっていた作業が、0.3人月にまで圧縮されました。
・アラート処理件数を大幅に削減
毎日1,000件以上あったアラートの切り分け作業が、数十件レベルにまで減少しました。
・外部委託コストの削減
自動フィルタリングにより、運用センターへの発報依頼が不要となり、委託費用を大幅に削減。
■ チームの変化と現場の反応
アラート処理の自動化により、チーム全体の業務負荷が軽減され、より重要な業務に集中できる環境が整いました。
ナレッジの自動仕分けによって対応の質とスピードが向上し、現場のストレスも大幅に減少しています。
空いた稼働を活用して、改善活動や棚卸作業にも積極的に取り組むようになり、メンバーのモチベーション向上にもつながっています。
アラート管理の負担が大きく減ったことから、現場では高い評価を得ています。
さらに、お客様からも改善効果について好意的なフィードバックがあり、社内でも成果が共有されたことで、他部署から導入を検討する声が上がるなど、社内全体での関心が高まっています。
■ 特に便利だと感じている機能
最も評価されているのは、アラートの自動フィルタリング機能です。
手作業による誤認や見落としが減り、対応の正確性が向上しました。
また、連発エラーの検知やナレッジ活用による優先度判断支援など、現場の運用に直結する機能が充実しています。
アラート発報パターンごとに柔軟かつスピーディに対応できるため、リモート環境でも完結できる運用体制が実現しています。
第5章:今後の展望と他社へのおすすめ
■ 今後の活用方針
今後は、XonOpsの活用範囲をさらに広げ、他チームや他部門への展開を進めていく予定です。
特に、サーバー監視との連携や、警告域アラートの棚卸といった高度な運用への応用を視野に入れています。
現時点では、XonOpsの全機能を使い切れていない部分もあるため、今後は既存機能の深掘りと活用の最適化を進めることで、さらなる効果を引き出せると期待しています。
将来的には、生成AIなどの技術を活用し、アラートの関連性や頻度の自動分析・サジェスト機能の実装にも期待を寄せています。
運用の高度化と効率化を両立できる仕組みづくりを目指し、継続的な改善を進めていきます。
■ 他社へのおすすめポイント
アラートのバリエーションが多く、対応に追われている現場には、XonOpsの導入を強くおすすめします。
単なるアラート管理ツールではなく、現場の負担を根本から軽減し、運用の質を高める仕組みとして機能する点が大きな特長です。
実際に、私たちの現場では「対応すればするほど電話が鳴らなくなる」という実感が得られ、メンバーのモチベーション向上にもつながりました。
導入時の支援体制も手厚く、現場主導で運用できる設計であるため、初期構築のハードルも低く、段階的な展開が可能です。
まずは「電話連絡の最適化」など、明確な課題に絞って導入を始めることで、早期に効果を実感できるはずです。
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インタビュアー後期
本事例は、手作業中心だったアラート管理や、夜間・休日を問わない電話連絡による過重な業務負担、そして委託費用の高騰といった課題を、XonOpsの導入によって根本から改善した成功事例です。
アラートの自動フィルタリングとナレッジ活用により、対応工数と運用コストを大幅に削減。業務の質とスピードが向上しただけでなく、現場メンバーの精神的負担も軽減され、より健全な運用体制が実現しました。
さらに、連発検知やダッシュボードによる可視化といった副次的な効果も得られ、他部門への展開や将来的な機能拡張にも期待が高まっています。
「対応すればするほど電話が鳴らなくなる」──そんな実感が、現場の改善意欲を引き出し、組織全体の運用力を底上げする原動力となっています。
